【創業者インタビュー】 石倉佑一ストーリー
ゲストハウスとの出会い ~ホテルにはない自由な空間
私は中国の福建省厦門市の生まれです。中学2年のときに京都に移住、京都市内の公立中学に編入し、高校を経て神戸大学に進学します。
不動産業を始めたきっかけは、大学在学中の米国への交換留学でした。当時は米国でちょうどゲストハウスが流行り出した頃でした。ホテルとは違い、山の中や国立公園の中に一棟丸貸しのゲストハウスがあり、誰とも顔を合わせることなく利用できました。広々として、自由に使えて、夜中にふらっと星空を眺めることもできる。恋人と二人だけの空間としても、仲間と賑やかに食べたり飲んだりする場所としても最高で、「ホテルにはないものがある!」と感動し、今後の可能性を感じました。
米国での感動から生まれたゲストヴィラ「京蘭」 ~京町家の価値を再生する
米国から帰国後、まだ在学中のことです。母から家の資産の使い道について相談を受けました。そのとき、私の中で、米国のゲストハウスと京町家が結びつきました。中学から京都で育った私にとって、実は京町家は「古くさくて価値のないもの」でしたが、ゲストハウスとして再生させれば新たな価値を創造できるのではないか? さっそく一軒目の町家を購入し、伝統の風情を生かし私自身が内装・外装をデザイン、快適な設備を整えてリノベーションし、ゲストハウスとしての運営を始めました。
現在の「京蘭」ゲストヴィラの出発点がここにあります。
人にやさしい会社を目指す ~日本の大企業と中小企業を経験して
母が京都でゲストハウスを運営する一方、私自身は大学を卒業して川崎汽船の東京本社に就職します。世界をまたにかけて大型船を動かす大きな仕事でした。仕事は面白く、待遇にも不満はありませんでした。その一方、社内を見渡すとエスカレーターに乗せられたかのような人生が見えてしまい、「年功序列は自分には向かない」との思いが沸き上がってきました。組織に縛られず、京都ですでに始めていたゲストハウスの運営でやっていこうと思い、3年で会社を辞めました。
京都に戻るとすぐ、業界のノウハウを知るため不動産会社に就職しました。そこでは、大企業と違って中小企業ゆえのメリットや問題点も見え、今後自分が事業をやっていくうえで大きな参考になりました。ほどなくしてそこを辞め、独立します。
一流の大企業と小さな個人企業。双方を経験したことで、自分の方向性が見えてきました。社長や経営陣だけが得する会社にはしたくない。お客様には単にモノを販売するだけではなくご縁を大切に末永くお付き合いしたい、社員も大切にして気持ちよく自信を持って働いてもらいたい、地域や社会にも貢献し、伝統を守りつつ新しい文化を創造する「人にやさしい会社」にしたい……。
たとえ中小企業でも、自分が経営するなら、理想や専門性を持った仲間たちが集まるプラットフォームを作ろう。優秀な社員には独立を勧めて業務委託するなど、社員に利益を還元できる仕組みも作っていこう……。営業、デザイン、施工、IT技術、コンサルタント、コミュニケーション、それぞれに特異な才能を持つ者たちが集まった専門家集団、それが現在の株式会社京蘭となっています。
京都という土地で、伝統と自然を共生させた新たな創造を
学生時代、また東京時代など、京都に戻って四条大橋を渡るたびに、鴨川の豊かな水の流れ、川沿いの伝統的な建物群、東山連峰の緑、大きく広がる空の風景にほっとしました。京都とは、伝統と自然と現代が共生する何と素晴らしい空間なのだろう。東京にも大阪にも神戸にもないものが、京都にあるのです。
今、世代交代などで失われていく京町家。それを新たに再生することで、京都の伝統を次世代のために新たにつないでいくことを私の使命だと思っています。
「ゲストが泊まりたくなる、ゲストを呼びたくなる、プライベートな別荘(ヴィラ)のような一棟貸家」「清潔で、管理がきちんとしている」「困ったときすぐ対応する」「顧客のプライバシーを最大限尊重する」――これは現在、京蘭ブランドが開発提案する上質なゲストハウス「ゲストヴィラ京蘭」のコンセプトですが、理想と現実を結びつけ、京町家という京都の伝統文化や街並みを新しいかたちで守り続けるとともに、現代の視点で新たな価値として発信しつつ、京町家再生のプロジェクトを発展させていきたいと思っております。
石倉佑一 プロフィール
- 1992年
- 中国・福建省厦門(アモイ)市生まれ。
- 2006年
- 京都移住、京都市内の中学・高校に進学・卒業。
- 2012年
- 神戸大学入学。
- 2015年
- 米国カリフォルニア州Cal Maritime Academy に交換留学(1年間)。
帰国後、1軒目の京町家ゲストハウスを開業。
- 2016年
- 神戸大学卒業、川崎汽船株式会社入社、東京本社にて陸上総合職として3年勤務。
- 2019年
- 京都に戻り、不動産会社勤務後、独立して京町家一棟貸し宿泊施設のプロデュース・運営管理を始める。
- 2022年
- 「株式会社京蘭」設立。不動産業・改装デザイン・宿泊運営管理を営む。